The Unnamed Burglar ~名も無き犯罪者~ <後編>

【スパイダーマンvs強盗 最後の対決】 3of 3
(掲載原書:Amazing Spider-man #200)
(参考資料:The Official Marvel Index To Amazing Spider-man #9)

中編よりの続きです。

【Amazing Spider-Man #200】(1980年1月号 10~47頁)
やミステリオは何を求めてパーカー家を粗捜ししたのだろうか、そもそも以前がパーカー家に強盗に入ったのには何らかの理由があったからに違いない・・・。ピーターはその謎を解明する為に当時の新聞ファイルを調べることにしました。
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程なく、謎はほぼ解明しました。

そしてピーターはさらに確固たる確証をつかむ為、翌朝ロックフェラーセンターのマンハッタン・テレビ局を訪れます。スパイダーパワーを失っている為、ビルへの侵入は容易ではありませんでしたが、疲れ果てながらもどうにか目的の場所に辿り着きました。

ピーターは数年前に放送された、“テレビ・スペシャル” というビデオテープを見つけ出し、再生します。
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20分後、の調査は完了し、マスクを脱いで部屋を出ようとした時、突然ピーターの耳に叫び声が飛び込んできました。
廊下に出ると警備員が、逃げる “引ったくり” を追っていました。
ピーターは取り押さえ警備員に差し出します。
そしてピーターは感謝する警備員の顔を見て驚きます。警備員は “あの時“ の警備員でした。
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以前もあそこでを捕まえていればベン伯父さんは死なずにすんだ、ピーターは再び自責と後悔の念に駆られました。

アパートに戻ったピーターは、ドアノブにこじ開けられた跡があり、不審に思いながら中に入ると・・・
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そこには、ベン伯父さんを殺害したあのが拳銃を構えてピーターを待ち伏せしていました!

思わぬ形でピーターはとの対面を果たします。
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ピーターはに飛び掛ります。
しかし、ミステリオの特殊薬の効果でスパイダーパワーを欠いていたので、はピストルでピーターの頭を殴り倒すことが出来ました。
ピーターは意識を失いました。
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ピーターが意識を取り戻すと、そこは港の古い倉庫で、椅子に縛り付けられていました。
は、数年前にこの倉庫でスパイダーマンに捕まった、と言います。
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そしてはピーターに、パーカー家の “お宝” について話せ、と脅します。
ピーターは、自分と伯父だけが、ダッチ・マローンの隠し財産の所在を知っていた、と答えました。(ピーターは先の新聞ファイルとテレビ局での調査で 「ダッチ・マローンの隠し財産」 の存在を知ったが、それがどこにあるのかは実際は知らない)


はピーターに “マローン” について語り始めます・・・

ダッチ・マローンの隠し財産とは・・・
かつて、まだ若かったはダッチ・マローンという悪名高いギャングと刑務所で同房になった。ある日はダッチが、フォレストヒルズの自分の家に財産を隠したという寝言を聞いた。ダッチ・マローンは30年ほど前からワイン密造を企て、莫大な財産を得ており、それを自宅のどこかに隠したというのだ。その後ダッチは死に、は刑務所を出た。はダッチの家がどこにあるのか皆目分からなかったが、たまたまテレビで「マローンの生涯」というスペシャル番組が放送され、そこでダッチの家が映りだされた。はそこがパーカー家に買われたと知る。そして “運命のあの夜” 、家を見つけたは強盗に押し入り、居合わせたベンを殺害したのだった。


はピーターに隠し財産の行方を話さなけでば殺すと脅し、さらにピーターの顔を何発も殴ります。
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ピーターが隠し財産のことを頑として喋らない為、は苛立ちますが、ふと何かを思いついたらしく、「大人しくしていろ」と言い残し倉庫を出て行きました。


怒るピーターはロープを引きちぎります。
どうやら、少しだけスパイダーパワーが復活してきているようです。
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ピーターはスパイダーマンとなり、すぐの後を付けます。
の行き先はレストウェル老人ホームでした。
やはり、はミステリオと何らかの繋がりがあったのだとスパイダーマンは再確認しました。
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はスパイダーマンの姿を見て狼狽します。
スパイダーマンはを追い地下室に入ります。
そこでの放った銃弾はスパイダーマンを捉え、スパイダーマンは階段から倒れ落ちました。
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は再び港の倉庫に戻ってきました。
そう、老人ホームに監禁していたメイ・パーカーを連れて・・・。
(ピーターが老人ホームで見た棺の中のメイは、ミステリオが精巧に模して造り上げた偽者だった)

はメイ・パーカーを人質にとり、ピーターから隠し財産の在り処を聞き出すつもりです。
しかし、椅子に縛り付けておいたはずのピーターの姿はありません。
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このはかつてベンを殺したように、ピーターを見つけたらきっと殺すに違いない。
メイ・パーカーの脳裏にかつてのあの忌まわしい記憶が蘇りました。
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(「メイ、いつまでも私のことを忘れないでおくれ・・・愛しているよ・・・」---それがベン・パーカーの最期の言葉だった)



と、そこに突然、背後からを挑発する声がした。
スパイダーマンだ!
スパイダーマンが死んだものと思い込んでいたは驚きます。
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「お前だけは許さない!!」

スパイダーマンは激しい怒りを込めてに何発もパンチを喰らわします。
そしてスパイダーパワーがほとんど回復したスパイダーマンはピストルの弾も難なくかわします。
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はスパイダーマンの攻撃に圧倒され、倉庫の奥へ、さらに奥へと逃げ込みます。
はスパイダーマンの攻撃が尋常でなく、ベンの為になぜここまで執拗になるのか理解できませんでした。


「Ben Parker was my uncle !」

スパイダーマンはマスクを脱ぎ、自分がピーター・パーカーであることを明かします。
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その事実を知ったは、彼はきっと自分を殺すだろう、と底知れぬ恐怖心を抱きます。もはや逃げる足もおぼつかず、フラフラです。
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なおも迫るスパイダーマン、追い詰められたの心臓への圧迫はピークに達しました。
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胸を押さえてその場に倒れる
結局は心臓発作を起こし死亡しました。
こうしてスパイダーマン(=ピーター・パーカー)とベン伯父さんを殺害した男との対決は実にあっけない形で幕を閉じたのでした。

スパイダーマンはメイ伯母さんに、自分をここへ呼び出したのはピーターだと告げ、彼女を病院に運びました。
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その後、ピーターはニューホープ記念病院のメイ伯母さんを見舞います。
ピーターはメイに “お宝” のことを訊ねると、

以前、ベンと壁板を取り壊した時に古い箱を見つけた。しかし箱の中身はシロアリや紙魚(シミ)によってボロボロになっていた。

と聞かされる。

ダッチ・マローンの隠し財産は既に灰と化し、結局誰の手にも渡ることはなかった。
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しかし今回の事件を通して、ピーターとメイの繋がりはより深いものになった。


スパイダーパワーが完全に回復したスパイダーマンは、暮れゆく美しい夕日に向かいウェブスイングして行く。
同じ過ちは2度と繰り返してはいけない。スパイダーマンは改めて悪に立ち向かうことを心に誓うのであった。
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■編集後記■
3回にわたっておおくりした「強盗」の後日談、いかがだったでしょうか。
パーカー家には隠し財産を狙って入った、というのは勿論後付のストーリーですが実に良く出来ていると思います。テレビ局のガードマンや対決した倉庫が「アメイジング・ファンタジー15号」と同じという演出もなかなか良かったと思います。ただ犯人の死はちょっとあっけなかったですね。
一つだけ疑問に思ったのが、前科があり、さらに強盗殺人を犯した男がなぜ数年で出所できたかという点です。もっともポピュラーなのは脱獄したという設定ですが、そのような明記はなかったし、・・・あと無理やり考えれば、刑務所での精神分析により心身衰弱者と診断され罪が軽減された、ぐらいでしょうか?

さて、この強盗は何気に?主要キャラなので、5月に公開する「スパイダーマン3」でも当然出てきます。でもストーリーは映画用に大幅に変更されており、ベン伯父さんを殺害した真犯人はサンドマンという設定のようです。
映画を楽しく観るポイントの一つとして、コミックでのストーリーをどのようにアレンジして映画用に書き換えたか比較してみる、というのもあると思います。この記事が少しでもその参考になればと思い、今回取り上げてみました。



■補記■
この「強盗」は、2001年にリメイク作としてスタートした『アルティメット・スパイダーマン』、さらに古くは、1977年から始まった新聞連載マンガにも登場しています。
また “スパイダーマンの起源” の中の重要人物として関連コミック等にもたびたびフラッシュバックの中で登場しています。


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           『Ultimate Spider-Man #5』(2001年5月号)より


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          「コミックストリップ」1977年10月27日掲載分より

(小野耕世著『アメリカン・コミックス大全』によれば、この新聞連載マンガ(コミックストリップ)は連載当初はジョン・ロミータが担当、後にはスタン・リーの実弟ラリー・リーバが手掛け(スタン・リーの本名はスタンリー・リーバ)、さらに様々な画家によって引き継がれ、現在に至っているとのことです。また同書によれば、ある特定の人しか読まないコミックブックに比べ、新聞に掲載されるマンガは毎日家庭に入ってくるのだから読者の数は圧倒的に多い。よって同じマンガでも新聞連載作品のほうがその地位は比較にならないほど高いとのことです)


『スパイダーマン チャプターワン』での強盗
1998年、スパイダーマンの初期ストーリーを現代風に書き改めた12冊によるミニシリーズ『スパイダーマン チャプターワン』が発表されましたが、その中での強盗の設定は異色なものになっています。
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          『Spider-Man Chapter One #1』(1998年12月号)より

強盗はテレビ局でスパイダーマンと遭遇する少し前に、ピーターがスパイダーマンとなって窓から出て行くところを偶然にも目撃しています。強盗はスパイダーマンがこの家に盗みに入ったものだと勘違いします。そして後日、テレビ局でスパイダーマンに見逃してもらった強盗は、スパイダーマンの仲間になりたくなり、同じ家に押し入ったのです。

これはあまりにも強引な設定でしたね。そもそも『チャプターワン』自体の評判もよくなく、今ではこのシリーズの設定はなかったことになっています。




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